2016/03/16

Cheiron

「ザ・開高健(読売新聞社)」、P133
「Basser (No.155)」、P91



フェンウィックに惚れ込んだ開高さんですが、池原ダムの釣りでは別のメーカーのロッドを体験することになります。当時、ジャクソンから販売開始となった「Cheiron(ケイロン)」シリーズです。

「ザ・開高健」に掲載されたジャクソン社の広告には、原稿用紙に書かれた開高さん直筆の礼状が使われています。そこには、「アブからフェンウィックに切りかえたこと」、「池原ダムでジャクソン社とケイロンロッドのことを知ったこと」、「SBS-60でミノーを飛ばして感心したこと」などが、例の丸文字で記されています。

また、神戸の力丸(卓生)さんの口利きで「竿二本を入手した」ものの、同社からは請求書が届かないため、このたび一緒に代金を送る旨も末尾に書かれています。カタログから転載したその価格が文字として記されており、21800エン、22800エンと読み取れます。

当時の雑誌などに掲載された価格から想像するに、おそらくは、片方がSBS-60(サーフェスバサーセンシティブ)、もう一方WBS-60(ワーミングバサーセンシティブ)の計二本ではないかと類推しています。
 
さて、「BSプレミアム 釣って、食べて、生きた!作家開高健の世界(2)」で開高さんが実際の釣りに使っている竿。映像では、開高さんが糸を通す竿にボロンXのマークがくっきりと映し出されていますので、ボロンXが使われたのは間違いありません。


ただ、ボートには複数のタックルが持ち込まれていますし、「Basser (No.155)」の写真(P91)の竿はグリップの先端がフジ社のコネット式(GAかNA)で、かつ、バット部分にフェンウィックのマークが見当たりません。タイニークレージークローラーが軽々とキャストされていること、そしてグリップエンドが斧型に見えるシーンがあることから、ボロンX以外にも、「SBS-60」が使われていたのではないかと私は考えています。

この竿には、ケイロンのアドバンストグリップという斧型のハイパロン製グリップが付いていましたし、軽めのルアーも容易に投げられます。竿のしなり方を見ても、どうもボロンXとは思えないもので・・・。


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