2016/03/31

Bandana

「サライ(2005年9号)」、P42、ほか


昔から、アウトドアの雑誌や本にはバンダナの多様な使い道が紹介されていました。私がルアーフィッシングに馴染み始めたころの入門書にも、バンダナの活用方法がページを割いて書かれていることが多く、当時のルアー釣師は結構な割合で首にバンダナを巻いていました。今なら気恥ずかしいくらいですが。

開高さんも、見事な「バンダナ使い」ですね。アマゾンでの赤、ターポンフィッシングでの緑、イトウ釣りでの黄色や紺色、場所場所で数多くのバンダナが登場してきます。

「開高健記念館」の書斎には、これら愛用のバンダナがきちんと折りたたまれた状態で積み重ねて保管されています(サライ、P42)。それこそ、膨大な枚数のバンダナを所有し、また現地でも入手して使っておられたのでしょう。

さて、どこかの展示会で確認したのですが、開高さん愛用のバンダナのうちのひとつは、上のTNFのデザインのものでした。今のところ、他のはメーカー等を特定できていないのが残念です。

2016/03/30

Magnum Tiger GR

「もっと広く!(文庫版 上)」、P191、238、244 
土堤の上から私がヘドンのタイガーの緑、黒、赤のマグナム・サイズをキャストした。これはこれまでに何度もいい仕事をしてくれたルアーで、ひりひりピリピリと体をふるわせつつ泳ぐのである。ひょっとしたらあの不朽の名作ラパラをしのぐかもしれない勤勉さがある。


 開高さんがベタ褒めしているヘドンマグナムタイガー(#1030)のGRカラー。通称、スイカカラーとも呼ばれ、日本では人気があるカラーです。バジャラの猛攻で傷だらけになった写真が紹介されています。

実はタイガーのGRカラーにもいくつかバリエーションがあります。上の写真のものはリップにも塗装が施されていますのに対し、「もっと広く!」のものはリップが透明です。しかも、リップよりも前側(口にあたる部分)にも赤(オレンジ)が塗装してある珍しいものです。GRAカラーも同様ですが、リップよりが色付けされているものはクリアリップのタイプがほとんどです。通常、製造年代が経過するにつれて塗装方法簡略化されていくので、おそらく前側にも塗装が吹いてあるもののほうが古いものだと考えられます。

気を付けて探してみてはいるのですが、透明リップ+前側も赤のマグナムタイガーはほとんど見掛けません。是非とも入手して、傷だらけになるまで使ってみたいと思っているのですが・・・。

2016/03/29

Tiger TG

「オーパ!(文庫版)」、P175



ヘドンのタイガーはお気に入りだったようで、「オーパ!」にはもっとも代表的なカラーともいえるTGが掲載されています。ただし、サイズはマグナムではなく、通常サイズ(#1020)。1970年代後半から80年代前半製造の白目で黒瞳がスプレー塗装されたタイプです。


より古いものは、右のように透明な目玉で、瞳は描き目になっています。日本では、オリムピックが古くからタイガーを取り扱っており、その後はスミスも積極的に特注品を販売していました。カタログに掲載されていないカラーや、別注カラーも多く、なかなか悩ましい一群です。

実際に使ってみると、見事なまでに艶めかしく、よく動きます。他のルアーで攻めた後でも、このルアーならば突然魚が飛び出してくることがあります。このランカーはそんな釣り方で仕留めた一尾でした。

2016/03/28

Stren

「もっと遠く!(文庫版 上」、P45
「オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇(文庫版)」、P237
「生物としての静物」、P203、ほか


「フィッシュ・オン」の頃は、おそらく国産の号数表示の釣り糸が使われていたものと思われます。その後、「もっと遠く!」、「もっと広く!」の頃が過渡期で、タックルボックスには銀鱗3号の糸巻きが入っていたり(上巻、P5)、ルアー専用のストレーンのパッケージが写っていたり(上巻、P45)します。

その後は、黄色や青色の蛍光ライン(ストレーン)が専ら使われるようになります。特に、映像化されることを前提とした釣行では、視覚的な有効性もあってか、ゴールドのストレーン(今のHi-Vis Gold)が多用されるようになりました。

「オーパ、オーパ!!」で釣師の爪に挟まれているラインは、同じくストレーンのクリアブルーだと思われます。このラインは、朝陽や夕陽が射した時の色合いがとても美しく、私も愛用していました。残念ながら、現行品のクリアーブルーカラーは青紫の色合いが相当薄くなってしまい、とても残念に思っています。

2016/03/27

Killer

「フィッシュ・オン(文庫版)」、P86


ABU社のキラー(Killer)。「フィッシュ・オン」で「殺し屋」の名前を持つルアーとして紹介されています。最初期のものは少しデザインが異なりますが、その後、写真のようなプラスチックミノーにモデルチェンジしました。そう、まさにレーベルミノーです。製造をレーベル社に依頼したいわゆるOEM品だとされており、レーベルミノーとの違いはリップとお腹のロゴくらいです。 

写真の2品。実は50gもある最大サイズです。ミノーもこれくらいのサイズになるとなかなかの迫力があり、巨大魚や怪魚の夢を見させてくれそうです。

2016/03/26

Magnum Rapala 18

「オーパ!(文庫版)」、P203


「オーパ!」のページを一見しただけではただのフローティングラパラと思えるかもしれませんが、なんと18cmもある最大サイズ。しかも、大型魚用のマグナムです。ボディーは太く存在感があり、ウェイトも35g前後あります。堂々の風格です。

上に置いたのはそれなりに大きいF-18(フローティングラパラ 18cm)。並べるとF-11かF-13のように見えます。マグナムのほうはビッグベイトと呼ぶにふさわしい存在感です。もっと古いタイプは、オールドラパラ特有の「赤い口紅」と「白い腹巻き」が施されていて、手作り感が満載です。手描きの目玉もひとつひとつ表情があって、よい雰囲気を出しています(ルアーの目玉について、「生物としての静物」にも書かれていますね)。

2016/03/25

Brush Popper

「オーパ!(文庫版)」、P67

  
テントウ虫の色をしたヘドンのブラッシュポッパー、FRBカラーです。蛍光色の赤のボディーに黒い点々を施したカラーですが、デザインには二種類あります。 よく見掛けるのは右の「ぼかし状」のアイシャドーのもの。もう一方は、左の「隈取り」状のアイシャドーのもの。「オーパ!」に載っているのは後者です。

FRBはブラッシュポッパーの中でも短い年数しか作られなかったカラーで、サイズも大きいほうにしか塗られていないと思います。「オーパ!」の影響ではないとは思いますが、ブラッシュポッパーの中でも人気のあるカラーではないでしょうか。

2016/03/24

Black Fury

「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇(文庫版)」、P236
「太陽(No.422 特集 開高健)」、P52、61


これも、日本では比較的よく知られたスピナーです。メップス社のブラック・ヒューリー。渓流の流れる山林に棲む小さな昆虫類の色を模したスピナーとされています。国内に輸入されていた数が圧倒的に多かったためか、ブラック・ヒューリーといえばこの黄色いドット模様のものを思い起こす釣り人が多いのではないでしょうか。

「オーパ・オーパ!!」の写真ですが、暴れたサケの鰓が赤く写っているようにも見えます。本文には「メップス」の文字は頻出してきますが、具体的なモデル名までは記載されていません。普通は、同社の代表作である「アグリア」が思い浮かびますので、余計に見逃してしまいそうです。ただ、「太陽」の写真を併せて見比べてみますと、このサケの頭付近に写っているのが「ブラック・ヒューリー」であることに納得がいくと思います。カラーは、蛍光赤のドット模様。#4くらいのサイズになると、点々の数も増えてくるので、魚の鰓耙にそっくりです。

現行品のカラーラインアップを確認してみると、「オーパ・オーパ!!」掲載の蛍光赤もまだ製造されているようです。黄色に次いで並べてあるので、継続的に人気のあるカラーなのでしょう。流石、開高さんの見立てたカラーです。

2016/03/23

Mepps Aglia #4 & #5

「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇(文庫版)」、P27、39、223、224、227、234、235、236、239、240、242、その他多数


開高さんはスピナーを愛用していましたが、中でも一番のお気に入りが、このメップス社の「アグリア」でした。特に#4と#5は本当によく登場してきます。ご自身でも自信のあるルアーだったのでしょう。

日本では、大型のスピナーを使いこなす釣り人はほとんど見掛けません。メップスでいう#2以下のサイズのものは渓流や管理釣り場でもよく使われていますが、#4や#5といったサイズを投げている人はついぞ見たことがありません。アピール力がある半面、スレやすい日本の釣り場ではすぐに魚に見破られてしまうのでしょう。


私は、一時期、海で使ってみたことがあります。ハマチやシイラなどが、群れで競い合って奪い合いに興じてくれたこともあります。ただ、やはり金属製のルアーは海釣りでは錆の問題があり、特にフックがすぐに駄目になってくるのが難点でした。

2016/03/22

Panther Martin

「Basser (No.151)」、P36


スピナー好きの開高さん、流石にイタリアの名作もボックスに入れてありました。ブレードがシャフトと直結した斬新な造りのパンサーマーチン。ブレードには微妙な凹凸があり、よく回転するように工夫されています。

最近のモノ(といっても20年以上前に入手したものですが)はパッケージにハリソン社の名前が刷られていますが、ブレードの「Italy」の刻印は健在です。ルアーでも、イタリア製というだけでデザインのすべてが斬新で魅力的に思えますね。そういえば、スーパーカーブームの頃も、私はデトマソパンテーラとランチャストラトスが大好きでした。

2016/03/21

Mepps Comet Mino

「オーパ!(文庫版)」、P175
「フィッシュ・オン(豪華版)」、目次ページ


MeppsやABU、他にもたくさんのメーカーが、この手のゴム製ミノー付きのスピナーを昔からラインアップしていました。釣り人を魅了するための細工かと思っていましたが、実力もあるようですね。こちらのプレスリリースには、「Bassmaster Magagine」誌や「Sport Afield」誌での評判がとてもよかったことが記されています。

日本では見掛けませんが、「#5サイズ」や、アグリアロングのブレードが付いた「Giant Killer Mino」などのバリエーションもあるようです。大きいものも、一度入手して試してみたい気がしています。

2016/03/20

Sassy Shad

「オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇(文庫版)」、P321、327、330、332、ほか



「オーパ、オーパ!!」では、ミスターツイスター社のルアーが頻出してきます。特に、ウォール・アイ(ウォーライ)釣りの際には、友人のボブ・ジョーンズさんご推薦の同社製サッシー・シャッドが「百発百中」だったとあります。

開高さんの記述では、サッシー・シャッド=ジグスピナーというようにも読み取れますが、実際にはサッシー・シャッドは小魚の部分(軟質プラスチックのルアー)を指します。何種類か販売されていたジグヘッドとのセットで使ったり、開高さんのようにジグスピナーとして使ったり、様々な使い道が推奨されていました。また、私が子供の頃は、ソーシー・シャッドとも紹介されていることも多く、雑誌にもよく取り上げられていました。

当時のモノがいくつか残っているだろうとボックスを探してみたのですが、出てきたのは同社のミスターミノー。サッシー・シャッドの売れ行きに気を良くして、よりリアルな造りのものを開発したのではないかと想像しますが、こちらのほうはあまり人気はなかったようです。

2016/03/19

Beno Jointed

「Basser (No.151)」、P36


開高さんのプラノのボックスの一角に、他のルアーに隠れてひっそりと収まっています。

ジョイントの程度に様々な種類があり、3連、5連、7連・・・と長いものは延々と連なったものが売られています。首振りの動きが派手なので、ジョイントだとそれこそヘビのように動きます。開高さんも動きに期待して投げてみたのでしょうか。ボディー自体が小さめなので、ベイトキャスティングには少し軽すぎる感があり、むしろスピニングやスピンキャスト向きです。

2016/03/18

Hellbender

「オーパ!(文庫版)」、P203


Whopper Stopper 社のヘルベンダー。Heddonに吸収される以前に製造されたものでしょう。上の写真と全く同じカラーが「オーパ!」に掲載されています。開高さんの好きな、ディープダイビングプラグ。古くから、バス釣り用の「ランカーキラー」としても名高い名作とされていました。

さて、「オーパ!」の写真ですが、文庫版ではひとつひとつ撮影したルアーを再構成して掲載してありますのでサイズ感がバラバラです。一方、豪華版のP26-27には、すべてのルアーの集合写真が掲載しておりますので、ルアーサイズを類推するのにも役立ちます。「オーパ!」掲載のヘルベンダーは、おそらく小さいほうのサイズだと思います。

2016/03/17

Big Bud

「もっと広く!(文庫版 下)」、P3
「太陽(No.422 特集 開高健)」、P61


元洋酒屋さん勤めということもあってか、開高さんの作品にビールはほとんど出てきませんし、ご自身が飲んでいる姿もあまり想像ができません。酒豪にとっては、ビールはお酒には含まれない種類の飲み物だったのでしょう。

さて、「もっと広く!」には、ビッグバドが登場してきます。眼のまわりの黒ぼかしが大きく、黒い瞳もやや大きい塗りのタイプです。 また、書物の彩りとしてだけではなく、アタッシュケース型のアドベンチャラーのタックルボックス(No.748)にもしっかりと収められています。
 
ご存じ、バドワイザーのノベルティールアーですが、ランカーキラーとしての実力も良く知られるところです。雑誌などでも時々特集が組まれるので、愛好家も多いのでしょう。現在では多種多様のカラーが販売されていますが、プラドコ期以前にはほぼバドワイザーのみでした(後に、ラバット、クアーズなども出てきますが)。カラーバリーエーションがないのでコレクションアイテムにはなり難いと思いきや、ちょっとしたパーツや塗り方の違い、スケールの種類、目玉の表情などなどに小さな違いを求めていくとあっというまに1ダースくらいは揃ってきます。都合、ビール2パック分。ビールならばあっという間に消えていく本数ですが、ビッグバドならばこのくらいあれば当分の釣りには困らないはずです。

2016/03/16

Cheiron

「ザ・開高健(読売新聞社)」、P133
「Basser (No.155)」、P91



フェンウィックに惚れ込んだ開高さんですが、池原ダムの釣りでは別のメーカーのロッドを体験することになります。当時、ジャクソンから販売開始となった「Cheiron(ケイロン)」シリーズです。

「ザ・開高健」に掲載されたジャクソン社の広告には、原稿用紙に書かれた開高さん直筆の礼状が使われています。そこには、「アブからフェンウィックに切りかえたこと」、「池原ダムでジャクソン社とケイロンロッドのことを知ったこと」、「SBS-60でミノーを飛ばして感心したこと」などが、例の丸文字で記されています。

また、神戸の力丸(卓生)さんの口利きで「竿二本を入手した」ものの、同社からは請求書が届かないため、このたび一緒に代金を送る旨も末尾に書かれています。カタログから転載したその価格が文字として記されており、21800エン、22800エンと読み取れます。

当時の雑誌などに掲載された価格から想像するに、おそらくは、片方がSBS-60(サーフェスバサーセンシティブ)、もう一方WBS-60(ワーミングバサーセンシティブ)の計二本ではないかと類推しています。
 
さて、「BSプレミアム 釣って、食べて、生きた!作家開高健の世界(2)」で開高さんが実際の釣りに使っている竿。映像では、開高さんが糸を通す竿にボロンXのマークがくっきりと映し出されていますので、ボロンXが使われたのは間違いありません。


ただ、ボートには複数のタックルが持ち込まれていますし、「Basser (No.155)」の写真(P91)の竿はグリップの先端がフジ社のコネット式(GAかNA)で、かつ、バット部分にフェンウィックのマークが見当たりません。タイニークレージークローラーが軽々とキャストされていること、そしてグリップエンドが斧型に見えるシーンがあることから、ボロンX以外にも、「SBS-60」が使われていたのではないかと私は考えています。

この竿には、ケイロンのアドバンストグリップという斧型のハイパロン製グリップが付いていましたし、軽めのルアーも容易に投げられます。竿のしなり方を見ても、どうもボロンXとは思えないもので・・・。


2016/03/15

Boron-X

「生物としての静物(文庫版)」、P203
「オーパ、オーパ!! カリフォルニア・カナダ篇 扁舟にて(豪華版)」、P183、186、187
「BSプレミアム 釣って、食べて、生きた!作家開高健の世界(2)」
リールはアブのアンバサダー、竿はフェンウィックのボロンの555、糸はデュポンのストレン、鉤はマスタッド・・・・・・仮りにあげればそういうぐあいに武装怠りなく出動していくのであるが、


フェンウィックの頑強さに惚れ込んだ開高さんは、その後、ボロンXやサーモン用の長竿なども次々に揃えていったようです。当時の高級ロッドの代表として、ボロンXが紹介されていますし(「生物としての静物」)、琵琶湖やバンクーバー島のバス釣り(「オーパ、オーパ!!」や「BSプレミアム」)では実際に使っているシーンが収められています。

開高さんが手にした可能性のある具体的な品番は、活字として紹介されているXC-555、その他の候補としては軽量ルアー用のXC-554やXC-632でしょうか。著作物の写真から品番を判別するのはなかなか難しく、現物を見る機会がない限りは想像の域を出ませんが。

さて、HMGと同じく、品番やロゴの塗装が消えやすく、コンディションの良いボロンXを探すのは年々困難になってきています。それならば、ブランクのXCAシリーズなんかをと思ってこちらのほうも探してはいますが、滅多なことでは出てきません。きっとどこかの街角のショップの倉庫には眠っていると思うのですが。

2016/03/14

HMG

「生物としての静物(文庫版)」、P210
「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇(文庫版)」、P233、234、235、236、240
そこでフェンウィック社の、バス用の、ワンピースの、グラファイト竿を一本買い、リールは昔のままのアブのアンバサダー5000番Cという組み合わせにして、アラスカへキング・サーモンを釣りに出掛けた。

アルゼンチンの空港でほぼすべてのタックルを盗まれた開高さんは、意を決してロッドメーカーの宗旨替えをします。以降、ABU社のロッドはほとんど登場しなくなり、フェンウィックが幅を利かせていくことになります。

「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇」でたくさんのサーモンを釣り上げているロッドが、フェンウィックのHMG(グラファイトロッド)です。グリップスタイルから、日本からの特注品(ジャパンスペシャル)かもしれません。以前から品番が気になって気になって仕方がなく、写真を何度もルーペで拡大してみたりしていたのですが、ついぞ長さや品番は読めず仕舞いでした。5パワーの6フィートということは類推できていたのですが。

その後、いろいろな開高さん関連の展示会を訪れるたびに注意を払っていたところ、やっと「HMG GFC-605」と判明。スペックからしても、メップスの#4や#5あたりにはドンピシャといったところでしょう。

初期のHMGは程度のよいものが世の中にあまり残っておらず、また、ロッドのロゴやスペック表示もすぐに消えてしまいます。私も同じ竿が欲しくていろいろと探しまわり、今は何とか同じHMGの605を2本ばかりストックしています(ただし、私のものは後期仕様のHFC-605ですのでブランクが少し異なります)。いつの日か、アラスカを訪れる機会があれば持っていこうかとたくらんでいます。

2016/03/13

Meadow Mouse

「オーパ!(文庫版)」、P22、107、127、267
「太陽(No.422 特集 開高健)」、P61
プラスチックのネズミを投げると30秒後に一匹釣れた。


「オーパ!」にはこのネズミがたびたび登場します。「30秒後に一匹釣れた」との表現は、キャスト後に30秒間ノーアクションで放置しておいても釣れたという意味なのか、それともルアー交換後にすぐ釣れたという意味なのか。いずれにしても、当時のアマゾン河の魚の密度は相当に濃かったのでしょう。

ヘドンルアーの歴史の中でもかなり古くから製造されているルアーですが、私がルアー釣りを始めた時期には近所の釣具店にはこのルアーが置いてありませんでした。ただ、オリムピックのカタログやヘドンの「ミニカタログ」には艶めかしいネズミのボディーが掲載されており、欲しくて欲しくて仕方がないルアーのひとつでした。


その後、無事にいくつか入手できたのですが、ファーフィニッシュという仕上げの脆さもあり、実釣用として使ったものはなかなかよい状態を維持できません。仕方なしに、何個も何個も調達し続けることになります。 ・・・今も相当数、ストックしています。

さて、このルアー。リップを強引に垂直近くにまで曲げてみると、表面に大きな波動を残しながら悶えるトップウォータープラグに変身します。低活性時にも活躍する素晴らしいルアーです。

2016/03/12

Popeye (or Ashley)

「Basser (No.155)」、P80


これもフィッシング・ガイドさんのルアーかも知れませんが、ボックスにいくつか収められています。ヘドン社のポップアイ。ヘドンのヘッドハンターシリーズ(Heddon Hedd Hunter)の小型クランクベイトです。

ヘドンルアーの中では位置付けがよく分からない種類のもので、お腹のロゴも「HEDDON」としか印刷されていなかったりもします。それもそのはず、大きな目玉からわかるように、もとはラブルローザー社(Rabble Rouser)の別名のルアー(Ashley)でした。吸収合併かなにかでヘドン社が引き継ぐことになり、ヘッドハンターシリーズに組み込まれたのだと思われます。

小粒でピリリとしており、なかなか可愛いルアーです。ヘドン期のものはスミス社が取り扱っており、古いカタログにはディープポップアイ、ベイビーポップアイ、タイニーポップアイなどが掲載されていました。

2016/03/11

Atom

「フィッシュ・オン(豪華版)」、目次ページ、P86


「フィッシュ・オン(豪華版)」には開高さんのアムコのタックルボックスの写真が掲載されており、中にはアブ社のスプーンがたくさん入っているのがわかります。ただ、写真が小さいためになかなか判別が難しく、特定できるのはトビーとこのアトムくらいでしょうか。

波型のプレス模様が独特ですが、あまり釣果に関する記事や話を目にしたり耳にしたりした記憶がありません。かなり長い期間製造されていたルアーなので、それなりの実績はあるはずですが。

ところで、私が子どもの頃の釣具屋さん、特にアブの製品を扱っているお店では、数々のスプーンを額に入れたアブ社謹製のコレクションディスプレーをよく見掛けました。壁の少し高いところに飾ってあり、訪れるたびに長い間眺めていたことを思い出します。

2016/03/10

Original Zara Spook XRS

「Basser (No.151)」、P36


こちらのザラスプークは、後期のタックルボックス(プラノマグナム1162)の一角に収められていますので、開高さんご自身のものだったと思われます。オリジナルザラスプーク、通称、3rdザラ、ソリザラ、オリザラと呼ばれるモデルです。1980年代半ばにはモールドが変更されたので、それ以前の製造品となります。

カラーは、XRS(X-Ray Silver)。X線で透過された背骨を模したデザインで、シルバーショアーとも呼ばれています。このカラーもよく魚を誘ってくれます。特にクリアな水域や、水温が低い時や下がった時にも信頼できるカラーです。開高さんの釣り紀行でイメージを膨らませると、カリフォルニア、琵琶湖、池原ダムの水面を、ゆるやかにドッグ・ウォーク・・・という感じでしょうか。

1980年代の琵琶湖では、このカラーのザラスプークやトーピードはとてもよく釣れました。まあ、何でも釣れた年代ではあるのですが。

2016/03/09

Original Zara Spook XBW

「Basser (No.155)」、P81



前出のCHTと同じトレイに収納されています。カラーはXBW(ブラックショア)。夜明け前などの低照度な時間帯や濁りの強い水域によく効くとされている定番色です。それにしても、開高さんとペンシルベイトとは、あまりイメージが結びつきませんね。映像で見るリーリングスピードが速いからでしょうか?

とても長い期間にわたってたくさん製造が続けられているカラーですが、中でもボディーの反り具合が強く、目玉が少し黄色っぽく塗られているものがあります。水面での浮き角度がやや強く、ダイビングを伴ったアクションができるので、私はこのタイプが最も好みです。ロングキャストすると見えにくいというのが難点といえば難点ですが、ザラスプークのなかでも飛び抜けて動きがよいので、操作していてすこぶる気持ちのよいルアーです。