2016/04/20

Beveled-rim Ambassadeur 5000C De Luxe

「開高健 展(神奈川近代文学館 ’99)」、P14

  
「開高健展パンフレット」のP14には、「スウェーデンのABU社に招かれた際、記念に贈られた」とするリールの写真が掲載されています。よくよく写真を見ると、角型リムのブラックウッドボックス入り。製造年代が合致しませんね。

最初の角型(山型)リムの5000C  De Luxeは、1970年代後半に小ロットだけ製造されたと言われています。その後、多くの国からの要望があってか、1981年頃に再製造があり、日本でもエビスフィッシングが限定販売しました。

この1980年台初期のものは、当時の工場にストックされていたパーツを掻き集めて組み立てられたもののようで、様々な年代のパーツが混在しています。 リールフット(メッシュ、スムーズ)、ナット(大型袋ネジ、スクリューネジ)、スプールキャップ(スカート付き、なし)、レベルワインダー(丸、平)、ドラッグ(丸、角)等々、本当にいろいろな組み合わせがあります。さらには、最終期のパーツとして、右サイドカップにABU Swedenの刻印が入ったタイプも存在します。これは、Don Iovinoさんが、1990年代以降に再販したリールにも装着されていました。

残念ながら、開高さんご自身が「角型リムのデラックス」を使って釣りを楽しんだシーンを確認することはできませんでしたが、その後の5600CDLを含めてこれらのデラックスシリーズは、それこそ何台も何台も入手されたことでしょう。「釣道具を買うコツは、ゼニを惜しむな、安物を買うなという一点につきる」・・・ABUのデラックスリールを購入する時にこそ、思い出すべき名言です。

 さて、開高さんにちなんだ釣道具を紹介するページも、とうとう100回めとなりました。煩悩の数まで到達したかったのですが、ABUの5000シリーズのお話に戻ったことですし、いったんここで休止とさせていただきます。他にも表に出せないようなお話もいくつかあることはあるのですが、その辺はまたの機会にでも。みなさま、よい釣りを。

ごぞんじ

2016/04/19

Grooved-rim Ambassadeur 5000C De Luxe

「河は眠らない」??


さて、こちらは、5000 De Luxeではなく、5000C De Luxe。まずはロゴが大きく変わり、ドラッグホイールも大型のゴールドのものに変わっています。そのほかにも、スプールキャップの形状等にいくつかの仕様変更があります。

私自信が昔に映像を観ながら記録したメモには、「『河は眠らない』に登場してくるデラックスは5000 C De Luxe」とありました。そこで、このたび再確認しようとしてみたのですが、ふと、わが家にVHSビデオを再生する機材がなくなってしまっていたことに気付きました。うっかりしていました。いつの日か、DVD版の「河は眠らない」を入手した際にでも、再度確認してみようかと思います。


こちらのリールは、1986年頃以降に製造された5000C De Luxe。同じ波型リムですが、内部構造が大きく変わっています。何よりも金メッキが薄くなってしまったことと、ドラッグのクリック音が出ないことがとても残念です。ただ、機能的にはむしろ改善されている箇所もあり、5000番なのに製造段階からハイギア(4.7:1)仕様です。遠投する際にはそれなりに使い勝手がよくなっています。ドラッグホイールを黒に替えたり、ハンドルなどのパーツを交換したり、クリック音が出るように改造したりと、いろいろとチューニングを楽しみながら、気を使わない時の釣りに使っています。

2016/04/18

Ambassadeur 5000 De Luxe

「開高健 展(神奈川近代文学館 ’99)」、P57
もっと遠く!(豪華版)」、P20
「もっと広く!(文庫版 上)」、P113、118、191
「もっと広く!(文庫版 下)」、P191
「オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇(文庫版)」、P232 
「オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇(豪華版)」、P183、187
「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇(文庫版)」、P233
「オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇(文庫版)」、P350
その他もろもろ



開高さんといえば、このリール。アンバサダーデラックス。5000CDLではなく、波型リム、黒ドラッグの5000 De Luxeです。最初の2台の入手の経緯は、開高健展パンフレット(神奈川近代文学館)に掲載されているABU本社への礼状の下書き(英文)に詳しく記されています。

これによると、1969年にスウェーデンを訪問した際に1台、翌年にも1台、計2台が記念品として開高さん(と秋元さん)に贈られたようです。釣り紀行では、南北両アメリカ大陸縦断記(「もっと遠く!」、「もっと広く!」)のころから1台が実釣用として活躍し始めます。オニキスの小型ダブルハンドルが装着された金のリールが燦然と輝く写真が、何枚も掲載されています。残念なことに、この1台はおそらく帰路の空港で盗難に遭い、惜しくも開高さんの手元からは離れていったと思われます。

したがって、その後や晩年の釣りによく登場してくる5000 De Luxe は、ABU社の純正パワーハンドル(軸間8cm、シルバー)が装着されていました。このことからも、アメリカ大陸縦断記の頃のものとは別の個体であることが想像できます。もっとも、開高さんは周りの人々にあれこれとすぐに贈呈してらしいので、他にもたくさんのデラックスがタックルボックスに入っていたとも考えられます。


こちらは、私自身が実働させている2台。5000 De Luxeはスプールの回転の良いものが多く、軽めのルアーでもよく飛びます。金の色合いも山吹色に近い濃い色合いで、メッキも重厚感があります。使っていてとても気持ちのよいリールです。

2016/04/17

Ambassadeur 5600CDL

「太陽(No.422 特集 開高健)」、P10


「太陽」の井伏鱒二さんの秘伝書の頁に、「スウェーデン、アブ社製の黄金のリール」として紹介されているのが5600CDLです。ただ、開高さん自身の著作物には、5000 De Luxe や5000CDLは登場してきますが、5600CDLは見掛けません。

5600CDL自体、製造年数が短くあまり数多くは出回らなかったリールです。上の写真のものは、1977年製造のもの。ドラッグの先端が涙型(丸型)で、サムレバーが角ばったタイプです。「太陽」のものはもう少し後期のもので、ドラッグが角型、サムレバーが丸いタイプです。さらには、ハンドルを止める部品(リテイナー)があることから、おそらくは1980年台初頭のものだと思われます。

2016/04/16

Kast Master

「フィッシュ・オン(文庫版)」、P86
「フィッシュ・オン(豪華版)」、目次ページ


「フィッシュ・オン」でルアーの形状や名前の奇妙さを説明したくだりがあり、その中に「絶頂」というのが紹介されています。これは、アクメ社(ACME Tackle Co.)のカストマスター(Kast Master)のことではないかと思っています。同書豪華版の目次ページにも登場してきますので。

ネギかゴボウを適当に切ったような形をしたこのメタルジグは、実はテイル側が重くなるように設計されています。バーティカルに操作する「ジグ」というよりも、水平に曳いた時にお尻を上手に振る「スプーン」ですね。極小サイズから海でのロングキャスティング用まで幅広いラインナップが用意されており、どんな場面でも活躍する万能ルアーです。

私が初めてルアーでスズキを釣った時に使っていたのは、シルバーのカストマスターでした。他にも、マス類、ケタバス(ハス)、バス、ブルーギル、海の小魚もろもろ、と思い出せないくらいの魚種を釣り上げています。ラインが撚れやすいのと、沈みがよいので底に引っ掛かって紛失しやすいのが難点と言えば難点ですが、それこそ「馬に食わせるほど」の量をストックしておいても損はないルアーです。

2016/04/15

Chug Ike

「フィッシュ・オン(豪華版)」、目次ページ 



このメーカーのルアーもデザインが特徴的で、一目でわかります。これも、「フィッシュ・オン」の目次ページの写真に掲載されており、異彩を放っています。装丁やデザインの観点から採用されルアーのひとつかも知れません。

確か国内ではリョービが取り扱っていたように思いますが、店舗に並んでいたのを見た記憶があまりありません。興味があるルアーでしたので、アメリカのコレクターからいくつか譲って貰って動かしてみましたところ、なかなか機敏かつ大胆なアクションで、よく魚を誘い出してくれました。デザインだけではなく、実釣用としても素晴らしいルアーです。

2016/04/14

Devil Horse

「Basser (No.155)」、P81


これも同じ見開き写真の端っこに写っています。ただ、年代の違いか、ロゴが少し違います。

「Basser」のはDEVIL HORSE、上の写真のは DEVIL'S HORSEです。最初期のものは、忌避的な命名により「DEVEL HORSE」と名付けられていたらしいですが、現物を見たことはありません。

このルアーを得意にしている釣り人は多く、「エサ」と呼ぶ人もいるくらいです。私もここ数年、頻繁に使うようになり、何となく使い方が分かってきた気がします。ウッド製で塗装の具合が個体個体で違うという点も、今となってはとても魅力的に感じます。

それにしても、スミスウィック(Smithwick)のバスカラーのデフォルメは素敵ですね。バスカラーの中では、最高の出来映えだと思います。