「開高健展パンフレット」のP14には、「スウェーデンのABU社に招かれた際、記念に贈られた」とするリールの写真が掲載されています。よくよく写真を見ると、角型リムのブラックウッドボックス入り。製造年代が合致しませんね。
最初の角型(山型)リムの5000C De Luxeは、1970年代後半に小ロットだけ製造されたと言われています。その後、多くの国からの要望があってか、1981年頃に再製造があり、日本でもエビスフィッシングが限定販売しました。
この1980年台初期のものは、当時の工場にストックされていたパーツを掻き集めて組み立てられたもののようで、様々な年代のパーツが混在しています。 リールフット(メッシュ、スムーズ)、ナット(大型袋ネジ、スクリューネジ)、スプールキャップ(スカート付き、なし)、レベルワインダー(丸、平)、ドラッグ(丸、角)等々、本当にいろいろな組み合わせがあります。さらには、最終期のパーツとして、右サイドカップにABU Swedenの刻印が入ったタイプも存在します。これは、Don Iovinoさんが、1990年代以降に再販したリールにも装着されていました。
残念ながら、開高さんご自身が「角型リムのデラックス」を使って釣りを楽しんだシーンを確認することはできませんでしたが、その後の5600CDLを含めてこれらのデラックスシリーズは、それこそ何台も何台も入手されたことでしょう。「釣道具を買うコツは、ゼニを惜しむな、安物を買うなという一点につきる」・・・ABUのデラックスリールを購入する時にこそ、思い出すべき名言です。
さて、開高さんにちなんだ釣道具を紹介するページも、とうとう100回めとなりました。煩悩の数まで到達したかったのですが、ABUの5000シリーズのお話に戻ったことですし、いったんここで休止とさせていただきます。他にも表に出せないようなお話もいくつかあることはあるのですが、その辺はまたの機会にでも。みなさま、よい釣りを。
ごぞんじ